案の定というか宣言通り(?)伊周のみになりました。あんなに楽しくなさそうなサンタも珍しい。そして恐らく道長宅に対してはプレゼントではなく火矢をぶっぱなすと思われ。
以下ふと思いついた中関白家兄弟の小話。なぜあの絵を描いてる時に思いついたし。そして無駄に長い。伊周視点のような三人称のような。そして例によって支離滅裂(爆)
以下ふと思いついた中関白家兄弟の小話。なぜあの絵を描いてる時に思いついたし。そして無駄に長い。伊周視点のような三人称のような。そして例によって支離滅裂(爆)
伊周は自分が今着ている装束を見て、改めてうんざりした。何だこの無駄に赤い装束は。おまけに普段は真っ黒は烏帽子ですら、それに合わせて真っ赤。どこで調達したと問いただしたいのだが、これを押しつけた張本人の弟、は「ちょっとトナカイ連れてくる!」とわけのわからないことを言い残して、どこかに行ってしまった。
既に数日を経て一度も姿を見ていない時点で「ちょっと」で済ませられるようなことではないと思うのだが、あの無駄に頑丈な弟のことだ、特に心配する必要もないだろう。
「まあ、兄上!お似合いですよ」
「こんな派手な服・・・似合うものか。大体何故俺が贈り物をせねばならん立場なのだ」
「よいではありませんか」
一応、着てみたものの表に出る勇気はあまり出ず、部屋の中でウロウロしているところを妹に見つかって、若干、というか結構恥ずかしい。
「そうだ、定子・・・。お前は何か欲しいものはあるか?」
どうせ贈るなら身内から、ということで装束と一緒に押しつけられた大きな白い袋を開きながら聞いてみた。
「・・・・・・・・」
「定子?」
「今のまま・・・」
「は?」
「今このように、ただ、兄上や隆家と、こうして他愛のない会話をすることがいつまでも続くように、と」
彼女が言ったことは、何の変哲もない、ごくごく「普通」のものだった。しかしそれは、自分が贈ってやれるような代物ではなかった。
何故ならその「普通」の生活から、引き離したのは自分たちなのだから。
「恨んで、いるのか」
俺たちを。
「いいえ。あの方のことは愛していますし・・・。ただ・・・」
その後に続いた言葉が何だったのか、聞き取れなかった。あるいは聞きたくないと無意識に彼女の声を除外したのか。今改めて聞いてみたくても、その相手はもう、いない。
「隆家」
「んー?」
「定子は、幸せだったと思うか?」
今更だった。彼女はもう亡くなって、あの時の願いも聞いただけで何もできなかった。否、しなかった。思い返してみれば家族として普通に接したのは、あれが最後だったかもしれない。
相手が天皇ではなく、そこそこの貴族であれば、彼女が望む「普通の生活」を手に入れることはできたのだろうか。男子を産まなければならないという重圧もなかっただろう。彰子の存在も気にならなかっただろう。相手が高貴であればあるほど、その結婚生活は幸せだろうというのは男の視点で、じゃあ待つことのほうが多い女の立場からは、同じことが言えるのだろうか。定子が死んでから、ぐるぐると思考が回った。そのどれも聞けなかったのは、多分返ってくる回答が恐かったから。
「・・・・それさぁ、聞いて何か意味あるの?」
「ない」
「じゃあ聞くだけ無駄じゃん。姉上がどう思ってるかは姉上にしか分かんないんだから、死んだ後にでも聞けばいいんじゃないの?」
こういうところで隆家はあっさりしている。亡くなったその時は人目もはばからず大泣きしていたのが嘘のようだ。
「俺は幸せだったし、楽しかったよ。兄上は?」
「は?」
「だーかーらー!幸せだったかどうか聞いてるんだよ!」
「・・・まあ、それなり、に・・・?」
「じゃあ姉上もそう思ってるよきっと」
今はそれでいいんじゃない?
そういう風に言った弟の顔が、妹に似ていたものだから、思わず笑ってしまった。
「そうだな。今はそれでいいか」
今は何を言っても、何をしても、届かない。
だからそれが届くようになるまで、もう少し待っていてくれ。
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伊周が死ぬ直前に定子とのやり取りを思い出してどう思ってたんかなぁ、と考える話?無理やりサンタ絵要素を突っ込んだらわけのわからん話に。やー小話っていうか文章って難しいね!(ならやるな)
既に数日を経て一度も姿を見ていない時点で「ちょっと」で済ませられるようなことではないと思うのだが、あの無駄に頑丈な弟のことだ、特に心配する必要もないだろう。
「まあ、兄上!お似合いですよ」
「こんな派手な服・・・似合うものか。大体何故俺が贈り物をせねばならん立場なのだ」
「よいではありませんか」
一応、着てみたものの表に出る勇気はあまり出ず、部屋の中でウロウロしているところを妹に見つかって、若干、というか結構恥ずかしい。
「そうだ、定子・・・。お前は何か欲しいものはあるか?」
どうせ贈るなら身内から、ということで装束と一緒に押しつけられた大きな白い袋を開きながら聞いてみた。
「・・・・・・・・」
「定子?」
「今のまま・・・」
「は?」
「今このように、ただ、兄上や隆家と、こうして他愛のない会話をすることがいつまでも続くように、と」
彼女が言ったことは、何の変哲もない、ごくごく「普通」のものだった。しかしそれは、自分が贈ってやれるような代物ではなかった。
何故ならその「普通」の生活から、引き離したのは自分たちなのだから。
「恨んで、いるのか」
俺たちを。
「いいえ。あの方のことは愛していますし・・・。ただ・・・」
その後に続いた言葉が何だったのか、聞き取れなかった。あるいは聞きたくないと無意識に彼女の声を除外したのか。今改めて聞いてみたくても、その相手はもう、いない。
「隆家」
「んー?」
「定子は、幸せだったと思うか?」
今更だった。彼女はもう亡くなって、あの時の願いも聞いただけで何もできなかった。否、しなかった。思い返してみれば家族として普通に接したのは、あれが最後だったかもしれない。
相手が天皇ではなく、そこそこの貴族であれば、彼女が望む「普通の生活」を手に入れることはできたのだろうか。男子を産まなければならないという重圧もなかっただろう。彰子の存在も気にならなかっただろう。相手が高貴であればあるほど、その結婚生活は幸せだろうというのは男の視点で、じゃあ待つことのほうが多い女の立場からは、同じことが言えるのだろうか。定子が死んでから、ぐるぐると思考が回った。そのどれも聞けなかったのは、多分返ってくる回答が恐かったから。
「・・・・それさぁ、聞いて何か意味あるの?」
「ない」
「じゃあ聞くだけ無駄じゃん。姉上がどう思ってるかは姉上にしか分かんないんだから、死んだ後にでも聞けばいいんじゃないの?」
こういうところで隆家はあっさりしている。亡くなったその時は人目もはばからず大泣きしていたのが嘘のようだ。
「俺は幸せだったし、楽しかったよ。兄上は?」
「は?」
「だーかーらー!幸せだったかどうか聞いてるんだよ!」
「・・・まあ、それなり、に・・・?」
「じゃあ姉上もそう思ってるよきっと」
今はそれでいいんじゃない?
そういう風に言った弟の顔が、妹に似ていたものだから、思わず笑ってしまった。
「そうだな。今はそれでいいか」
今は何を言っても、何をしても、届かない。
だからそれが届くようになるまで、もう少し待っていてくれ。
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伊周が死ぬ直前に定子とのやり取りを思い出してどう思ってたんかなぁ、と考える話?無理やりサンタ絵要素を突っ込んだらわけのわからん話に。やー小話っていうか文章って難しいね!(ならやるな)
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しょーもない歴ヲタぶろぐ。旅行記があったり読書感想があったり。